福井県にて「地産地消×学校給食」をコンセプトにした古民家カフェ「はな結(はなゆい)」の開業プロジェクト。コロナ禍での開業ではありましたが、これまでの学校給食現場のマネジメント経験を武器に、オープン直後からたくさんのお客様に愛される店舗となりました。

2020年オープン

1. プロジェクト概要

◆店舗名:給食カフェはな結(はなゆい) ※現在は「フードビジネス開発拠点(キッチンスタジオ)」として展開

◆場 所:福井県若狭町(若狭熊川宿・重要伝統的建造物群保存地区/日本遺産プレミアム認定)

◆店舗特性:築160年の古民家をリノベーションした、地域食材活用の体験型カフェ

◆プロデュース内容

 1. 開業計画: コンセプト設計、事業計画書作成
 2. 店舗開発: 物件契約、店舗デザイン、厨房レイアウト、営業許可
 3. メニュー開発: メニュー構成、原価計算、仕入れ業者選定、食器選定
 4. オペレーション設計: スタッフ募集、調理・接客オペレーション構築、衛生管理
 5. プロモーション戦略: プレスリリース・広報

2. 課題・解決策・結果(開業ステップのプロセス)

【開業計画】 コンセプト設計 / 事業計画書作成

  • 課題: 開業に向けた熱い想いはあるものの、具体的なコンセプトが固まっておらず、開業までのスケジュールや事業計画をどのように進めるべきか具体的なステップが見えていなかった。
  • 解決策: 約1年以上にわたり、対話を重ねて想いを言語化。強みである「学校給食」と「地産地消」を掛け合わせた「給食カフェ」という独自のコンセプトを設計。それをもとに事業の土台となる事業計画書を作成した。「給食=安い・地味」という先入観から適正な客単価(価値)を設定しにくいことやコロナ禍の初期と重なり、先行きが不透明な時期の不安もあったが、現実的な計画を一つずつクリアしていった。
  • 結果: 明確なコンセプトが決まったことで、目指すべきお店の方向性が一本の軸として定まった。単なる食事提供ではなく懐かしさに浸る「体験」を楽しんでもらうことで、観光客や若い世代の方々にも納得していただける価格設定ができた。しっかりとした事業計画書を事前に準備したことで、関係者との打ち合わせや各種手続きもスムーズに進めることができた。
人と食と地域を結ぶ場所「給食カフェはな結(ゆい)」

【店舗開発】 物件契約/ 店舗デザイン / 厨房レイアウト / 営業許可

  • 課題: 福井県内外を含め40軒近くの物件を巡ったが、家賃や初期投資のリスク、条件など、長期的な視点から優先順位を決める必要があった。最終的に交渉が進んだ築160年の古民家は、重要伝統的建造物に登録されており外観変更の制限が多く、内部もシロアリ被害や建物の傾きなど土台からの大規模な修復が必要となり、予算超過や行政手続きが壁となった。
  • 解決策: 店舗デザインでは、古民家特有の暗さを逆手に取り、天井を吹き抜けにして光と開放感を採り入れ、白壁の明るく清潔感のある空間を提案。予算面では、改修の基礎となる専門的な修復部分へ重点的にコストを配分し、自分たちでできるところは工夫しながら進める計画を立てた。厨房設計では、作業動線のほかに排水・電気・ガスの配置まで考慮し、厨房機器の選定から衛生的なレイアウトまでを設計した。
  • 結果: 古民家の良さを残しつつ、現代にも喜ばれる明るく清潔感のある空間へ再生。そのギャップやタイムスリップ感が評価を呼び、テレビや雑誌、SNSの撮影場所としても多く活用される場所となった。また栄養士や調理師免許を活かすことで、保健所の営業許可申請もスムーズにクリアされた。
(改修前)床、壁、天井、柱すべての補強からスタート
(改修後)吹き抜けの天井と白ベースの壁で明るく開放感のある空間へ

【メニュー開発】 メニュー構成 / 原価計算 / 仕入れ業者選定 / 食器選定

  • 課題: 給食の良さは活かしつつカフェとしてのおしゃれさを出すこと、地元産の食材を仕入れながら安定した提供量と利益をしっかり確保すること、観光客に刺さるメニューや地元客へのリピートされるメニュー作りが必要だった。
  • 解決策: ターゲット層へのリサーチをもとに、給食の定番である「カレー」「揚げパン」をメニューの主軸に配置。現場経験で培った1800品の学校給食の人気レシピをベースに、地元の旬の食材をたっぷり使って、彩りや盛り付けを現代風にアップグレードした「給食ランチ」を開発。地域の生産者や地元の仕入れ業者と直接交渉し仕入れルートを開拓。食器選びもこだわり、ランチタイムには本物の学校給食の食器や牛乳瓶を、カフェタイムには厳選した陶芸家オリジナルの器を使用し、時間帯ごとの雰囲気を変えた。
  • 結果: かつて食べた思い出の給食よりも「豪華でおいしそう!」と心が弾むクオリティを実現。地産地消による地域貢献とお客様がワクワクして来店してもらえる話題性をもった看板メニューになり、開業計画で予想していた来店数の1.5〜2倍を記録。順調なスタートを切ることができた。
地域食材を使った人気ランチ「よくばり給食」
人気のカレーと揚げパンの夢のコラボ「わんぱくカレー給食」
テイクアウトでも大人気の揚げパン(シュガー・きなこ・ココア)
陶芸家オリジナルの器

【オペレーション設計】 スタッフ募集 / 調理・接客オペレーション構築 / 衛生管理

  • 課題: 経営未経験からのスタッフ雇用にあたり、混雑時でも安全に料理を提供できる仕組み作りが必要だった。
  • 解決策: これまでのネットワークや近隣地域から信頼できるスタッフを採用し、調理と接客の運営体制を役割分担して構築。立ち上げ期は平日・土日の両方に入ってもらいながら調理・接客の効率的な仕組みを計画した。特定の一人に頼るのではなく複数人でシフトをシェアすることで、スタッフに無理のない出勤を可能にし、運営面の人手不足リスクや人件費の負担を軽減させる体制を整えることができた。
  • 結果:オープンから約1年間は予想以上の混雑やコロナ禍での自粛で現場がバタバタしたものの、スタッフとの信頼関係とこれまでの現場経験を活かして臨機応変に対応。コロナ禍という大変な時期の開業だったが、感染や食中毒などのトラブルは一度も発生せず安全に運営ができた。スタッフの希望を考慮した柔軟なシフト設計を行ったことで、自然と現場のマニュアル化も進み、安定して回る体制が整った。
プレオープンでの様子

【プロモーション戦略】 プレスリリース・広報

  • 課題: 開業当初はホームページやSNSの運用基盤がなく、広告予算もゼロの状態から広く認知を広げる必要があった。
  • 解決策: ビジネスコンテストのプレゼンの場を大切な広報の機会と捉え、「地産地消×給食カフェ」という独自のストーリー性を前面に出してプレスリリースを発信。さらに、新聞の折り込みチラシや地域のつながり、そして実際に来店されたお客様自身のSNS発信や口コミを大切にしながら、地域全体へ少しずつ認知を広げていった。
  • 結果: お店のストーリーを大切にした広報活動によって注目が集まり、広告費をかけないなかでも福井新聞をはじめ、テレビ・雑誌など計20回以上のメディア取材を獲得。オープン直後から行列ができるほど、たくさんの方に知っていただけるきっかけとなった。
2020年8月22日付の福井新聞にて紹介

最後に

このプロジェクトを通して実感したのは、「しっかりとした計画」と「現場で柔軟に変えていく力」の両方が大切だということです。 ピンチのときこそ、逆転発想でチャンスにするが、ここ結(ここゆい)の強みでもあります。
「想いはあるけれど、何から手をつければいいかわからない」「自分の強みや魅力を、もっと形にしたい」……。そんなお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。ここ結(ここゆい)では、飲食店新規開業のためのコンセプト設計からメニュー開発、開業トレーニングの実践までトータルでサポートしております。現場で培った知見をもとに、あなたの最初の一歩をパートナーとしてお手伝いさせていただきます。